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2011年11月28日 (月)

「ラーメンと愛国」-なぜ作務衣を着るのか

新刊食書のご紹介

「ラーメンと愛国」(速水 健朗著・講談社現代新書・定価798円)

 確かに謎だったのだ。 なぜ最近のラーメン屋店主は、藍染めのTシャツや作務衣<さむえ>を着てタオルを頭に巻くのか。 なぜ相田みつを系の人生訓やら「ラーメンポエム」を壁に張り出すのか。

 こうした疑問にピンと来た方は手に取るべし。 巻措くあたわざる知的興奮で満腹になることうけあいである。

 もともとは中国発祥のラーメンが、なにゆえ国民食とまで呼ばれうる存在になったのか。 著者はその背景に敗戦後に展開されたアメリカの小麦戦略と大量生産、大量消費の時代をみる。 登場人物はチキンラーメンの発明者・安藤百福<ももふく>から列島改造の田中角栄まで多士済々。 一杯のラーメンには戦後日本の消費文化史が凝縮されているのだ。

 作務衣に象徴される「捏造された伝統」という物語に依拠するナショナリズム、それがラーメン道だ。 著者の得意とするヤンキー文化への接続がなされないのは心残りだが、後味の爽やかな日本人論としても読める。        斎藤環(精神科医)

(H23・11・27 朝日新聞<朝刊>「読書」所載)

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