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2007年6月29日 (金)

美食家スターリンのメニュー

 スターリンも、美食家だったので、ローザは、彼の食事が栄養満点であるよう、気を配った。 彼はグルジア料理なら何でも喜んだ。 特に、串焼き羊肉(シャシリーク)、ピラフ(肉飯)、家鴨の焼肉が大好物だった。 

 また、虹鱒が、コーカサスからモスクワまで、特別の容器に入れて空輸された。 そして、大きなガラスのたらいに入れられ泳ぎまわっていた。 スターリンは、虹鱒が泳いでいるのを見るのが好きだった。 そして、どの魚を食べようかと選んだものだった。 

 彼はキャビアが好きだったが、いつもこれを、卵および細かく刻んだタマネギと混ぜ合わせて食べた。 また、ボルシチ(キャベツ、ビートの根、および数種の肉を入れて作ったおいしいスープ)を、沢山飲んだ。

 妻のローザおよび、彼と親密な間柄にあった人々の話によれば、次のメニューが彼の好物であった。

 まず、彼は、空き腹に約八勺のウオトカを、ぐっと飲み干す。 それから、生の刻みタマネギをつけた塩づけニシンを二匹、それにキュウリの漬物と黒パンとを食べる。 つづいてまた、ウオトカを八勺ほど一気に飲む。 次は、ジャガイモの蒸し焼きを添えた厚い羊肉二切れ、または生焼きの大きなビフテキに蒸し焼きのタマネギを添えて食べたり、ある時は、焼タマネギとゆでたジャガイモを添えた豚肉料理、またある時は、焼きジャガイモ添えのウィーンナシュニッツェルであったりする。

 なお、毎日次のような同じ献立が並べられた。 バターをたっぷりつけた白パン、ジャム、キャビア、くんせいの鮭、ロシア・パイ、それから、彼の好みに応じて、イチゴか、キイチゴで作ったジャムを入れた紅茶など。

 大抵、午後二時頃、彼は昼食として、次のようなものをとった。

 まず、約八勺ほどのウオトカを飲み、次に刻みタマネギをつけて塩づけニシンを、またウオトカをがぶ飲みする。 それから、鶏肉と海老入りのサラダをー西洋風のサラダを思い浮かべてはいけない。 ロシア風のサラダは、ジャガイモや野菜や、卵や、肉などにマヨネーズをたっぷりかけた手のこんだものであるーサラダと一緒に、彼はロール・パンを一、二個、それからロシア・パイ、ケーキ、紅茶とつづく。

 夕食は大抵八時から九時ごろにとられた。 これがまた、なかなか念の入ったものである。

 ウオトカを手離すことはないし、黒パンと一緒にボルシチか、ロシア風の濃い野菜スープを飲む。 次に揚げ卵つきのくんせいの鮭、またはフライか蒸し魚を食べる。 串焼きの羊肉(シャシリーク)、ピラフ、ローストチキンか蒸し焼きの家鴨、豚肉か鹿肉の料理が大皿に盛りつけてある。 さらに果物入りのパイ、ケーキ、コーヒーとつづく。 食事の間にかるいコーカサスの酒を一びん飲みほしてしまう。

 かってソビエトの人民が飢餓にあえいでいた頃、スターリンやその仲間が、たらふく食べていたということは事実である。 

(「スターリンーその秘められた生涯ー」<バーナード・ハットン著・木村浩訳、講談社学術文庫898>より)

 

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